×

ニュース

10階 図書と映像 8階 子ども向け 中央図書館移転 面積1.3倍 広島市基本計画案

 広島市中区にある中央図書館と映像文化ライブラリー、こども図書館をJR広島駅前の商業施設「エールエールA館」(南区)の8~10階に移す計画で、市は17日の市議会総務委員会で基本計画案を示した。10階を図書と映像、9階を広島の紹介・展示、8階を子どものエリアとし、面積は現在の約1・3倍の1万3千平方メートル。現在地で建て替える場合と比較したデータも示し、移転の必要性を強調した。(余村泰樹)

 10階には一般書や専門書など計15万冊を並べ、閲覧や貸し出しができる図書エリアとする。自習スペースを設け、飲み物を楽しめる閲覧空間もつくる。さらに映像文化ライブラリーの機能も取り入れ、約100席の上映ホールを設置。広島ゆかりの映像作品を見られるコーナーも設ける。

 9階は広島を知るエリアで、ゆかりの作家や平和に関する文学資料、郷土資料の展示コーナーを開設。平和文化の発信拠点とする。

 子どものエリアとする8階には児童書など9万冊を置き、寝転んで本を読めるスペースや読み聞かせルームも用意。広さは現在のこども図書館の2倍となる。

 現地での建て替えと比較したデータも示した。建て替えの概算整備費は計約123億円。新築する建物に約90億円、建て替え中に使う仮施設の整備に約32億円などを要するという。一方、移転の場合はA館8~10階などの取得費に約60億円、改修費に約35億円が見込まれるなど計96億円と試算。有利な地方債も使えるとした。公共交通の利用者数は広島駅が1日約13万人で現在地の約11万人を上回る。

 委員会では「利用者の増加につながる好機だ」と移転に賛成する声の一方、「現地で新築する方が自由度が高く良い施設になる」と反対の意見が出たほか、議論不足の指摘もあった。市生涯学習課は「今後、市民の意見を聞き、多くの人が利用する図書館にしたい」と説明した。

(2022年2月18日朝刊掲載)

年別アーカイブ