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竹島記す江戸期の航路図 幕府の長崎奉行が作製か

 シンクタンクの日本国際問題研究所(東京)は18日、日韓両国が領有権を主張する竹島(韓国名・独島(トクト))が記された江戸時代後期の航路図が見つかったと発表した。江戸幕府の長崎奉行が作製した公的地図とみられ、竹島が日本領であることを補強する重要な史料としている。

 調査した島根大の舩杉力修准教授(51)=歴史地理学=によると、竹島が記された江戸後期の公的航路図が見つかったのは初めて。1820~30年代に長崎奉行が、九州や日本海沿岸などの密貿易の取り締まりに関連して作ったとみられる絵図で、隠岐の北西沖の竹島を「松嶋」、さらに北にある現韓国領の鬱陵島を「竹嶋」と記している。

 蝦夷地と下関・長崎を結ぶ松前航路で、両島の北側を通るルートの記載があるほか、竹島を「草木がなく、岩ばかりの小島」などと記した地理的情報の注記も見られる。舩杉准教授は「竹島近辺を通る帆船の船頭の実地の知見が幕府の公的地図に記され、両島が日本領と認識されていたことが分かる」としている。

 航路図は縦1・02メートル、横1・37メートル。舩杉准教授が東京の古書店で見つけ、2018年10月に購入した。同研究所のホームページで写真と研究成果を公開している。(松本大典)

(2022年2月19日朝刊掲載)

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