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白血病の前状態「MDS」 1.5キロ内被爆 高い発症率

■記者 東海右佐衛門直柄

 爆心地から1.5キロ以内で被爆した人は、白血病の前状態とされる骨髄異形成症候群(MDS)の発症率が通常より最大で3.8倍高いことが7日、分かった。近年、高齢の被爆者が白血病を発症する例が報告されており、被爆後数十年を経て発症するメカニズムの解明につながるという。

 朝長万左男・日本赤十字社長崎原爆病院長が同日、広島市中区であった原子爆弾後障害研究会で報告した。朝長氏が勤めていた長崎大医学部原爆後障害医療研究施設と、放射線影響研究所長崎研究所が合同で調査した。1985~2004年に長崎市内の5病院でMDSと診断された605人のうちの被爆者151人を分析した。

 その結果、爆心地から1.5キロ以内で被爆し、当時20歳未満だった人のMDS発症率は、被爆していない人に比べて3.8倍、20歳以上で被爆した人は1.5倍だった。

 白血病を発症する被爆者はこれまで、放影研の調査などで10年以内に発症するケースが大半とされてきた。しかし、近年は高齢での発症例も相次ぎ、朝長病院長は「被爆で幹細胞が傷つき、長い期間にわたって白血病を誘発している可能性がある」と指摘した。

 研究会は広島原爆障害対策協議会の主催。50回目となる今回は約200人が参加し、3件の特別講演や33件の研究発表があった。

(2009年6月8日朝刊掲載)

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