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広島・安芸太田の中国人強制連行 元労働者ら最後の招待 19日から

 戦時中、広島県安芸太田町の安野発電所の建設工事のため強制連行された中国人労働者の遺族26人が19日、発電所などを訪れる。工事を請け負った西松建設(東京)の拠出金を基に2010年から続けてきた招待事業は、希望する元労働者や遺族の訪日が全て終わるため、今回の第6陣で終える。

 遺族を招くのは、西松安野友好基金運営委員会(東京)。強制連行をめぐる賠償訴訟の和解に際し、西松建設が拠出した2億5千万円で運営している。10年には歴史を伝える石碑を発電所の敷地内に建て、昨年までに元労働者や遺族たち153人を招いた。

 第6陣の訪日団は元労働者の子どもや孫たち26人。19日に碑前である追悼の集いに参列する。20日は中区の平和記念公園も訪れる。

 市役所で10日、記者会見した西松安野友好基金運営委員会の川原洋子委員(63)=西区=は「真の和解を進めたいとの思いから受け入れをしてきた。来年以降も日本側関係者で碑前の集いを続ける」と話した。(田中美千子)

安野発電所の中国人強制連行
 1944年、中国から強制連行された360人が発電所建設工事に従事し、29人が死亡したとされる。元労働者たち5人が請負業者だった西松組(現西松建設)に損害賠償を求めた訴訟は2009年、和解が成立。西松安野友好基金運営委員会は12年末までに強制連行された246人を捜し出し、1人当たり60万円の補償金を渡した。

(2013年10月11日朝刊掲載)

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