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被爆の現実 次代に継承 松江で原爆死没者慰霊式

 島根県内の原爆死没者を悼む慰霊式典が10日、松江市学園南の北公園内の原爆慰霊碑前であった。被爆者や遺族、地元の小学生たち約180人が参列した。

 式典では、昨秋以降に亡くなった被爆者のうち、遺族が記載を希望した15人の名簿を碑に納めた。県原爆被爆者協議会の原美男会長(86)が「被爆の現実を次世代に伝えることに残りの人生を懸けたい」とあいさつし、参列者が花を手向けた。

 当時、女学生だった同市古志原の無職宅野久子さん(85)は1944年10月から45年8月まで、学徒動員で呉市の呉海軍工廠(こうしょう)にいた。「呉駅の外には広島から運ばれた死体が積まれ、ハエで真っ黒になっていた」。電車に乗るたび、顔が腫れ上がるなどした被爆者の姿を見た。「何もしてあげられなかったことを思うと、今も胸が締め付けられる」と振り返った。

 3月31日現在の県内の被爆者は1405人で、平均年齢は83・8歳。(明知隼二)

(2013年10月11日朝刊掲載)

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