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木造復元の課題整理へ 広島城天守閣 有識者初会合

 広島市は21日、広島城(中区)の魅力向上策を話し合う有識者会議の初会合を市役所で開いた。松井一実市長が目指す天守閣の木造復元の課題について整理し、是非を含めた意見をまとめる役割を担う。市は会議の意見を踏まえ、天守閣や周辺施設の整備計画を2026年度までにまとめる方針。(新山創)

 天守閣は毛利輝元によって1590年代に建てられ、1931年に国宝へ指定されたが、45年の原爆投下で倒壊。58年に現在の鉄筋コンクリート造りで再建された。2020年に耐震性の不足が判明したため、別の有識者会議が21年3月、耐震補強と木造復元を比較した上で木造復元を求める最終意見を市に報告。松井市長は同月、木造復元を目指す考えを表明した。

 新たな有識者会議は建築史や考古学、土木工学を専門とする大学教授たち10人で構成する。初会合で市の松嶋博孝・文化スポーツ部長は「木造復元を目指す上での課題や対応について知見に基づいた意見を頂きたい」と要請した。

 広島城は国の史跡に指定されており、現状変更には文化庁の許可が要るため、同庁の職員もオブザーバーとして参加。石垣や地下の遺構を保全しながら復元する必要があると説明した。

 市によると、石垣は輝元が築いた当時の姿が残り、文化財として価値が高い。市は石垣を壊さずに木造復元が可能かどうかを確認するため昨年9~12月に強度を調査しデータ分析を進めている。今後、石垣と天守閣についての部会を設け、詳細な検討をしていく。

 座長に就いた三浦正幸広島大名誉教授(城郭史)は「火災への対応やバリアフリーなど木造復元の課題は多い。復元の意義を含めて城全体の価値を高める方針を定めたい」と話した。

(2022年2月22日朝刊掲載)

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