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「核兵器不使用」共同声明に賛同方針表明 日本政府 一部修正で「整合しうる」

 岸田文雄外相は11日、国連を舞台に有志国が取りまとめを進めている核兵器の非人道性と不使用を訴える共同声明に日本政府として初めて賛同し、署名する方針を正式に表明した。日本政府は自国の安全保障政策との整合性などを理由に、過去3度まとめられた同様の声明に署名していない。一転して賛同することについて岸田氏は事前調整で「適切に修正されたため」と説明した。

 岸田氏は記者会見で「核兵器のない世界を目指し、たゆまぬ努力をすることは唯一の戦争被爆国であるわが国の道義的な責務。声明全体の趣旨を精査し、支持できる内容と判断した」と強調。声明を起草するニュージーランドの外相に事前に働き掛けた経緯を明かし、「適切に修正され、わが国の立場とも整合しうる」と説明した。

 一方、修正の具体的な内容は「各国との関係がある」と言及しなかった。声明は米ニューヨークで開会中の国連総会第1委員会(軍縮)で17日(現地時間)以降に公表される。岸田氏は公表後、修正点などの詳細を説明する考えを示した。

 過去3度の声明をめぐって、日本政府は米国の核政策に依存する現状から「わが国の安全保障政策と合致しない」と賛同を見送っていた。今回は、声明が日本の立場を拘束しないことをニュージーランド側と確認するなどし、賛同を決めた。

 声明案は、核兵器が広範囲で非人道的な被害を引き起こすと強調し、「二度と使われないという保証は完全廃絶しかない」と訴える内容。スイスや南アフリカなど16カ国の有志国が準備を進め、ことし4月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議第2回準備委員会で公表された前回声明で集めた賛同国80カ国を上回るよう働き掛けている。(藤村潤平)

(2013年10月12日朝刊掲載)

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