×

ニュース

広島医学史たどる150点 被爆建物の資料館で展示

 戦前の広島の地域医療や被爆者医療に関連する資料など約150点を展示する企画展「赤レンガの医学資料館」が被爆建物の広島大医学部医学資料館(広島市南区霞1丁目)で開かれている。同大原爆放射線医科学研究所(原医研)が主催し、3月23日まで。

 初公開の資料の中心は、現在の南区仁保で代々続いていた医院を継いだ故大橋完造さんの寄贈資料。明治期に日々の患者を記した「日々患者人名帳」や大正期の薬種商との売買記録など、戦前の地域医療の姿がうかがえる資料が並ぶ。

 被爆医師で、被爆者の治療に尽くした故松坂義正さんが使っていた旧厚生省の原爆医療法の手引書「原爆医療必携」も展示。戦時中は旧陸軍兵器補給廠(しょう)の第11兵器庫だった建物のれんがを再利用して現在の医学資料館が整備されたこともパネルで解説している。

 資料館では現在、常設資料の多くを展示室から出してほこりや害虫を取り除く作業中。その空きスペースも使って企画した。原医研付属被ばく資料調査解析部の久保田明子助教は「原爆に関わる医療にとどまらない郷土の医学史に触れてほしい」と話す。無料。平日午前10時~午後4時。予約が必要で、原医研のホームページから申し込める。同解析部☎082(257)5877。(水川恭輔)

(2022年2月25日朝刊掲載)

年別アーカイブ