×

ニュース

被爆の友しのび545首 広島県呉の梶山さん 歌集を自費出版

 広島県呉市神原町の主婦梶山雅子さん(80)が、3冊目の歌集「白色白光(びゃくしきびゃっこう)」を自費出版した。原爆の犠牲になった県立広島第一高等女学校(現皆実高)の同級生への思いなどを詠んだ545首を収めている。

 梶山さんは同校1年生だった1945年8月6日、虫垂炎の手術後だったため登校しなかった。自宅(現在の広島市南区金屋町)で被爆したが死は免れた。爆心地近くで建物疎開の作業をしていた同級生223人は全員が亡くなった。

 歌集はA5判、238ページで、2004年から13年冬までに制作した作品を載せた。「八月六日の勤労作業の出席簿そのまま死者の名簿となりぬ」と同級生を悼む一首や、「毛虫らは放射能のこと知らぬまま人住めぬ町に蝶(ちょう)とやなれる」と福島第1原発事故の被災地に思いをはせた歌もある。

 歌集は1994年に「花時計」、2005年に「いしぶみの賦」を出している。今回は500冊を出版した。2800円。

 梶山さんは「若くして亡くなった人もいる現実を知ってほしい」と話していた。京都カルチャー出版Tel075(314)7071。(柳本真宏)

(2013年10月13日朝刊掲載)

年別アーカイブ