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「被爆遺構」開館は来月26日 壊滅した旧中島地区 平和公園内に展示館 炭化した畳や街並み写真

 広島市は25日、現在の平和記念公園(中区)の一帯にあり、米軍の原爆投下で壊滅した旧中島地区の被爆遺構の展示施設を公園内で3月26日に開館すると明らかにした。民家や商店が立ち並んでいた被爆前の街並みと被爆後の被害の実態を伝え、核兵器の非人道性を発信する。(水川恭輔)

 原爆資料館東館の北側の緑地帯に鉄骨平屋の施設(約80平方メートル)を整備。施設内に、市の発掘調査で見つかった建物跡や、通りのアスファルトなどの被爆遺構(約3・2メートル四方)を展示する。焼け落ちた建物の土壁の実物や黒く炭化した畳、板材のレプリカを見学でき、遺構の解説映像も上映。被爆前の街並みの写真もパネルで紹介する。

 建物の工事はほぼ終了。この日は、展示の在り方について助言する市の有識者懇談会の委員6人が内部を非公開で見学し、意見を交わした。複数の委員が、実物を露出すると劣化するため、陶板で作った畳や板材のレプリカを「非常に精巧」と評価する一方、施設内にレプリカであることの説明がないと疑問視する声が出た。カビやコケ対策など遺構の維持管理の重要さを指摘する意見もあり、市平和推進課は「今後、検討したい」と答えた。

 市側は開館日のほか、名称を「被爆遺構展示館」とすることも伝えた。

 被爆遺構は、原爆資料館本館の耐震化工事を前に2015~17年にあった発掘調査で出土した。被爆実態を伝えるために生かしてほしいとの声が高まる中、市は公園内の別の場所での遺構公開を決めた。当初、被爆75年事業の一環で20年度中の公開を目指したが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で延期された。

(2022年2月26日朝刊掲載)

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