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地雷撤去後押し はがき1枚から 広島の久保田アナら書き損じ募集 換金しカンボジアへ「力になる」

 フリーアナウンサーの久保田夏菜さん(35)=安芸高田市=が代表を務めるカンボジア支援の市民グループ「クメールエール」が、地雷撤去費に充てる書き損じの未投函(とうかん)はがきを募っている。約1年間で全国から約1万2千枚が寄せられ、換金額は計60万円分に。「感謝の気持ちでいっぱい」と喜んでいる。(湯浅梨奈)

 久保田さんとメンバー5人がSNS(会員制交流サイト)などで呼び掛けると、はがきと未使用切手が届き始めた。「わずかですが使ってください」。添えられた手紙にも励まされている。

 書き損じはがきは、郵便局で1枚5円の手数料を支払い、新しいはがきや切手に交換。オンラインの金券ショップで換金する。現地で地雷の撤去活動を続けるNPO法人で、久保田さんが広島支部長を務める「国際地雷処理・地域復興支援の会(IMCCD)」(松山市)に1月末送金した。

 カンボジアは1970~90年代の内戦で民家周辺や畑に地雷が埋められ、今も400万~600万個が残るとされる。久保田さんは25歳の時、IMCCD理事長の高山良二さん(74)の活動を知って関心を寄せ、カンボジアの村を訪問。地雷で足を失っても「自分のこと以上に隣人を大切にする」村民に思いを寄せた。

 以来、毎年現地を訪れてテレビやラジオで状況を発信してきた。ところが、新型コロナウイルス禍では渡航がかなわない。日本からできる支援に一層力を注いでいる。

 今回集まった60万円で、マツダスタジアム(広島市南区)の敷地面積の6割に当たる3万平方メートルで地雷を撤去できるという。農地の開墾や学校、井戸の建設ができるようになる。IMCCDは2011年の設立時から対人地雷793個、対戦車地雷212個、不発弾1557発を処理してきた。高山さんは「国内から地雷をなくすには100年ほどかかる計算だ」と話す。

 書き損じはがき約850枚分で、作業員の1カ月分の賃金になるという。「たった1枚でも、みんなの思いが集まれば大きな力になると実感した」と久保田さん。送付先は〒739―1521広島市安佐北区白木町三田38の28 クメールエール事務局☎090(9731)4140。

地雷
 対人地雷と対戦車地雷がある。殺傷ではなく負傷させることで戦意・戦力を奪う目的の兵器。地中に敷設され、踏まれると爆発して被害者は手足を失うとともに精神的、経済的な打撃を負う。アフガニスタンやコロンビアなどでも撤去活動が続く。

 1999年に対人地雷禁止条約(オタワ条約)が発効。非人道兵器として、有志国と非政府組織(NGO)が連携して条約による禁止を実現させた経緯は、核兵器禁止条約(TPNW)の前例となった。

(2022年2月28日朝刊掲載)

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