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広島や長崎の反核団体 相次ぎ声明 「国際法違反」「蛮行許されない」

 ロシアのプーチン大統領が自国の核戦力を「高度の警戒態勢」に置くよう命じるなど核兵器使用を示唆しているのに対し、反核団体が相次いで抗議の声明を発表している。ロシアの隣国ベラルーシが核配備を可能にする憲法改正の手続きを進めるなど、核拡散への懸念も広がっている。

 広島県原水禁は28日、プーチン大統領宛ての抗議文を大使館に送付。国際司法裁判所(ICJ)が1996年に示した「核兵器の使用と威嚇は一般的に国際法に違反する」との勧告的意見を引き、プーチン大統領の言動を「国際法違反を疑う余地はない」と非難。核兵器を使用しないと明言するよう求めた。

 核兵器禁止条約の採択をけん引した非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN(アイキャン))もこの日、声明を発表した。「違法なウクライナ侵攻のさなかに核兵器を戦闘準備態勢に置いたことで、世界は核による破滅へと近づいた」とし、ロシア軍の即時停戦と撤退を要求。核兵器保有国が掲げる核抑止政策は「平和維持ではなく、侵攻を続ける目的で使われている」と批判した。

 核兵器を持たず中立を保つと定めたベラルーシの憲法を改正する動きに加え、国内では安倍晋三元首相が米国との「核共有」に言及するなど核拡散への懸念も高まっている。ICANの川崎哲(あきら)国際運営委員(53)は「核兵器は紛争を止めるどころか、危機を生み出し悪化させているのは明白だ。安易に核の保有や共有の議論に流れず、核兵器禁止条約をはじめ、各国が協力して軍備を管理する国際秩序の回復を目指すべきだ」と強調した。(明知隼二)

(2022年3月1日朝刊掲載)

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