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核禁条約 日本参加を ビキニデー 世論の拡大訴え

 静岡県焼津市のマグロ漁船第五福竜丸が米国のマーシャル諸島ビキニ環礁での水爆実験で被曝(ひばく)して68年となった1日、日本原水協や原水禁国民会議がそれぞれ主催するビキニデー集会がオンライン形式で開かれた。参加者たちからは、日本政府に核兵器禁止条約への参加を求める声が相次いだ。

 原水協などの原水爆禁止世界大会実行委員会が開いた集会では、今夏に予定される条約の締約国会議で議長を務めるオーストリア外務省のクメント軍縮局長がビデオメッセージを寄せた。条約が昨年1月に発効し、59カ国が批准、86カ国が署名した現状を踏まえ「加盟国が増えるたびに、核兵器はもはや合法ではないという国際的な認識が強まる」と強調。唯一の戦争被爆国としての日本の役割に期待し「参加は重要」と説いた。

 大会運営委員会の千坂純共同代表は主催者報告で「核兵器禁止・廃絶の世論をさらに圧倒的に広げることが求められる」と訴え、日本政府に条約参加を促す国民的な運動を提起した。

 原水禁などの集会では、長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA)の中村桂子准教授が講演した。条約を「核兵器に『悪の烙印(らくいん)』を押すもの」と表現。オブザーバー参加にも慎重な日本の姿勢を「背を向けることがいかに恥ずかしく、世界の期待を裏切ることなのかは想像に難くない」とただした。

 最後に「核と人類は共存できない」として核兵器廃絶や原発の廃止を訴えるアピールを採択した。(口元惇矢)

(2022年3月2日朝刊掲載)

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