×

連載・特集

緑地帯 川野祐二 エリザベト音大と歩んで⑧

 子ども向けのコンサートのかわいいお客さまは、いつも大歓声で学生を迎え入れ、彼らの演奏を本当に楽しんでいる。音楽は子どもの心をストレートに揺さぶる。

 エリザベト音楽大学は、行政やNPOと連携協定を結び、演奏活動、音楽の技術指導、コンクール審査などを学生・教職員が担っている。音楽の癒やす力、無限の可能性を信じて創立者は学校を設立したので、地域社会への貢献、特に子どもの育成は我々の責務だ。

 コロナ禍で演奏会開催が難しくなったが、学生の成果発表の場である定期演奏会、クリスマスコンサートが例年どおり開催できたことは幸運だった。また学生と教員が多数参加した広島シティーオペラ「トゥーランドット」は開催が危ぶまれたが、学内の演奏会同様、PCR・抗原検査を繰り返すことで上演に至り、多くの来場者を感動させた。通常の厳しい練習に加え、コロナ対応が重なり、出演者は苦労が絶えなかったに違いない。しかし演奏の場があることが重要で、逆境を乗り越えた者の成長は著しい。

 これまで大学の貢献活動に際して、行政、NPO、ロータリークラブ他から様々な協力・援助が得られたことに厚くお礼申し上げる。私はロータリーではまだ若輩者だが、本学にはない社会奉仕・国際貢献活動の実績がある。今後も協力できることを願っている。

 4月からの理事長・学長再任にあたり、多方面の方々に感謝しつつ、「音楽をとおして 私が変わり 世界を良くする人になる」を、自分らしく実践していきたい。 (エリザベト音楽大理事長・学長=広島県府中町)   =おわり

(2022年3月2日朝刊掲載)

年別アーカイブ