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蔵書1万7000冊 行き場なく 2月末閉鎖 国際会議場ラウンジ貸し出し用

広島市が譲渡会検討 余ったら処分も

 広島市中区の平和記念公園にあり、2月末で閉鎖した広島国際会議場1階の「国際交流ラウンジ」で、貸し出し用だった約1万7千冊の蔵書の行き場がなくなっている。寄贈や購入で集めた和書や洋書で、一部は図書館などに引き継いだが、9割近くが残った。市は一般向けの譲渡会も検討するが、余った場合は処分する方針という。(加納亜弥)

 1989年7月の国際会議場開館に合わせ、市が開設したラウンジの蔵書は2万384冊。国際交流・協力関連▽小説▽ガイドブック▽日本語学習テキスト▽漫画―など、和洋書とも多彩なジャンルがそろう。

 このうち約半数は市民が寄贈した。残りは購入で、2018~20年度は年間40万~50万円(250冊前後)を充ててきた。新型コロナウイルスの感染拡大前となる19年度は、市民たち1373人に2600冊を貸し出した。

 市はこれまで、市内の図書館や原爆資料館などに、引き取りの希望を問い合わせてきた。2937冊が引き取られたが、1万7447冊が残っている。ラウンジでは過去、定期的に古くなった一部の図書の無料譲渡会も開催。現時点で具体的な譲渡会などの予定はないが、市国際化推進課は「できるだけ必要な人に届く方法を考えたい」とする。

 国際会議場を巡っては、21年3月に地下2階のレストラン「セレナード」が契約満了で閉店したのに伴い、市内部で在り方を検討してきた。ラウンジについては、図書館と機能が重複しているとして閉鎖を決定。空いた場所には22年度中に飲食店がオープンする予定という。

(2022年3月3日朝刊掲載)

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