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広島世界平和ミッション 毒ガス兵器被害 病院で治療法討議 広島の医師らテヘラン到着 患者の体験も聞く

 毒ガス兵器被害者や支援者との交流のためイランへ出発した広島市の特定非営利活動法人(NPO法人)「モーストの会」(津谷静子理事長)の会員ら先発十三人は二十四日未明(日本時間同日早朝)、首都テヘランに到着。この日、被害者の診療を続けている病院を訪ね、両国の医師が治療法や基礎研究について意見交換した。(テヘラン発 広田恭祥)

 イラン化学兵器被害者支援協会のシャリアール・ハテリ医師(34)の案内で午前中、テヘラン市北部のラバフィ病院を訪問した。講義室で同病院のハミッド・ソフラプル院長(59)ら医師六人と面会。ソフラプル院長は「毒ガスの影響を広く知らせ、日本と医学分野の共同プロジェクトを進めたい」とあいさつ。イラン・イラク戦争で毒ガス攻撃を受け、東京の大学病院で治療を受けた元イラン兵士の証言を聞いた。

 医師同士の討議では、広島大大学院の武島幸男助教授(42)=広島市南区=が、びらん性のマスタードガス被害による遺伝子変異などを報告。イラン側も五万人近いといわれる生存者の現状や、次世代への影響に対する懸念について話した。

 毒ガス兵器で目に障害がある二十人からも診察室で体験を聞き、視力の衰えや肺の疾病に苦しんでいる現状を学んだ。

 今回の訪問は、昨年四月の広島世界平和ミッション(広島国際文化財団主催)の第一陣メンバーとして津谷理事長がイランを訪問し、その後も市民レベルの交流が広がる中で実現した。

きょう広島で第六陣報告会

 広島世界平和ミッション(広島国際文化財団主催)第六陣メンバーの報告会が二十六日午後三時から、広島市中区の市女性教育センターで開かれる。

 報告者は被爆者の松島圭次郎さん(76)=広島市佐伯区▽同市中区出身で被爆者の村上啓子さん(68)=茨城県牛久市▽米国イリノイ州出身で広島YMCA職員のスティーブ・コラックさん(50)。

 他のメンバー二人を含む第六陣は四月一日から約四十日間、米国各地を巡り、学校などで被爆体験を伝える傍ら、核関連施設を訪ね核超大国の核政策に身近に触れた。報告会ではそれぞれが体験を語り、参加者と意見交換もする。

 主催は「広島世界平和ミッション」を支える市民の会(柴田幸子代表世話人)。資料代三百円。

(2005年6月26日朝刊掲載)

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