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オスプレイ国内配備1年 増す「岩国」の重要性

 米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが国内で初めて滋賀県での日米共同訓練に参加した。25日に高知県である別の訓練にも2機が参加する。岩国市の米海兵隊岩国基地が拠点や中継地となり、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)から機体を受け入れた。オスプレイが国内配備されて1年。岩国基地の重要性がじわりと増している。

 16日の陸上自衛隊饗庭野(あいばの)演習場(滋賀県高島市)であった日米共同訓練。岩国基地を経由したオスプレイ2機が自衛隊員と海兵隊員を輸送した。沖縄の基地負担軽減策の一環として行われた訓練。視察した岩国市の福田良彦市長は、政府の分散化方針には理解を示しながらも「関係自治体の理解と協力を得るための努力を続けてほしい」と国に求めた。

 山口県によると、昨年10月の第1陣12機の普天間飛行場配備後、普天間から岩国基地への飛来は今回の訓練を含め延べ32機に上る。一方で本土訓練拠点として、岩国基地とともに米軍の環境審査報告書に併記されたキャンプ富士(静岡県御殿場市)はいまだ利用されていない。

 岩国基地ばかりに飛来する現状を、山口大の纐纈(こうけつ)厚副学長(現代日本政治軍事論)は「尖閣諸島のある東シナ海をにらみ、西日本での訓練が濃密化している。航続距離が長いオスプレイなら岩国からでも中国、東シナ海に展開できる」と分析。さらに普天間移設の停滞も挙げ「より岩国が重視され、今後は配備に近い状態になる可能性もある」と指摘する。

 日米共同訓練に参加した2機を含め、岩国基地にとどまっていた4機は17日夕、普天間に向け飛び立った。(堀晋也)

(2013年10月18日朝刊掲載)

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