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社説・コラム

[NIE これ読んで 担当記者から] 地雷撤去後押し はがき1枚から ヒロシマ平和メディアセンター・湯浅梨奈

カンボジア支援 笑顔守る

 フリーアナウンサーの久保田夏菜さん(35)=安芸高田市=が代表を務めるカンボジア支援の市民グループ「クメールエール」が、地雷撤去費に充てる書き損じはがきを募っている。1年間で全国から約1万2千枚が寄せられ、換金額は計60万円。「こんなに集まるとは思わなかった。感謝の気持ちでいっぱい」と喜んでいる。(2月28日付朝刊)

 地雷を踏むと、爆発して手足を失います。敵を殺さず、苦しめることを目的とした残酷な兵器です。カンボジアでは1970~90年代の内戦で民家周辺や畑に埋められ、今も犠牲者が後を絶ちません。

 久保田さんたちは、昨年の冬から会員制交流サイト(SNS)で、はがきと切手の呼び掛けを始めました。すると全国から善意が届きました。書き損じはがきは、郵便局で1枚5円の手数料を支払うと新しいはがきや切手に交換できます。それを換金し、地雷撤去を続ける松山市のNPO法人に送りました。

 久保田さんは25歳の時に初めてカンボジアを訪れ、地雷で手足を失った人々の姿に衝撃を受けました。亡くなる子どもたちがいることも知りました。

 しかし、「村は暗い雰囲気だろう」と思って訪問すると、親切で明るい人たちだったといいます。貧しくても「ご飯を食べにおいで」と声を掛けられることも多々。「一生懸命に生きるみんなの笑顔を守りたい」と思ったそうです。それから毎年、現地を訪れてはテレビで状況を伝えてきました。新型コロナウイルス禍の今は、日本からできる支援を続けています。

 地雷がなくなれば、子どもたちの学校や井戸も建設できるようになります。みなさんも、要らないはがきを寄付してみてはいかがでしょうか。たった1枚でも、みんなの思いが集まれば大きな力になります。

(2022年3月6日朝刊掲載)

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