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侵攻受け 記念事業中止 今秋予定 広島市、露の姉妹都市と

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、広島市は9日、今秋に予定していたロシアの姉妹都市ボルゴグラード市との提携50周年記念の交流事業を中止すると明らかにした。相互に代表団や芸術団を派遣する予定だったが、安全を確保できないと判断した。

 記念事業は、9月に記念イベント出席のため松井一実市長たち代表団などをボルゴグラード市に派遣し、11月に広島市でイベントを開いてボルゴグラード市長たちを迎える予定だった。2022年度一般会計当初予算案に関連費用1600万円を計上していた。

 この日の市議会予算特別委員会で担当職員が説明した。ウクライナ侵攻やプーチン大統領の核兵器使用を示唆する発言を「被爆地広島の思いを踏みにじるものだ」と批判。2月以降、現地と連絡が取れていない現状を説明し「代表団派遣は安全確保に懸念があり、中止せざるを得ない」とした。

 一方、姉妹都市提携は市民レベルの親善を深めるのが目的だとして、国の動向とは切り離して都市間の友好関係は継続するとした。

 ボルゴグラード市は第2次世界大戦の激戦地(当時はスターリングラード市)で、戦争で大きな被害を受けた都市同士として1972年に姉妹都市の提携を結んだ。現在は平和首長会議(会長・松井市長)の24のリーダー都市の一つ。(明知隼二)

(2022年3月10日朝刊掲載)

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