×

ニュース

被爆再現人形は15年度末に撤去 原爆資料館展示で広島市表明

 広島市は18日、中区の原爆資料館に展示している被爆者の姿を再現したプラスチック製人形を、2016年3月ごろ撤去すると表明した。市は、資料館の耐震改修工事に合わせたリニューアルで、展示資料を遺品や写真などの「実物」中心とする考えだ。人形をめぐっては市がことし3月、市議会に撤去方針を示して以降、反対する市民が署名活動を続けている。

 市議会決算特別委員会で、市平和推進課の石田芳文被爆体験継承担当課長が明らかにした。市は16~17年度に資料館本館の耐震改修工事をする計画で、石田課長は「(15年度末に)本館を閉館する際、被爆再現人形は撤去する」と述べた。

 人形はプラスチック製で3体。資料館本館に入ってすぐの場所にある。原爆の炎に追われ、がれきの中をさまよう姿を再現。前方に突き出した両腕から皮膚が垂れ下がっている。今の人形は1991年に設置された2代目で、先代のろう人形は73年に据えられた。

 市の撤去方針に対し「人形は原爆のイメージを膨らませる。撤去は納得できない」とする市民グループが、継続展示を求める署名活動を展開、現在約9千人分に達した。6月に署名簿を市に提出した際、「市民の意見を聞く機会を設けてほしい」と求めている。(岡田浩平)

原爆資料館の展示見直し計画
 耐震改修に合わせて、2004年から有識者でつくる市の検討委員会で議論を始め、10年7月に基本計画を決定。委員を一部入れ替えた検討会議はことし3月、遺品など実物資料約200点を効果的に配置することを盛り込んだ詳細計画をまとめた。東館は13~15年度、本館は16~17年度に工事し、18年度の全面リニューアルを目指す。

(2013年10月19日朝刊掲載)

年別アーカイブ