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戦後100年の2045年へ 巨大壁画に願い込め 中区の「おりづるタワー」で9人 来月下旬に完成

 広島ゆかりのアーティスト9人が、戦後100年の2045年に向けた願いを「巨大キャンバス」に描いている。広島市中区の「おりづるタワー」内のらせん状スロープの壁面がその舞台。20~90代の幅広い世代の芸術家が思い思いに腕を振るっている。4月下旬に完成する予定。(加納亜弥)

 被爆者で洋画家の三浦恒祺(つねき)さん(92)や塩を使ったインスタレーション(空間構成)で知られる尾道市出身の山本基さん(56)、各国で巨大な壁画を手掛けているSUIKOさん(42)たち9人が参加。うち1人は名前を明かさない「シークレット・アーティスト」として参加している。

 屋上の展望台に続く「散歩坂」と名付けられたスロープ(有料区間)の壁面で、1人が描く広さは幅24メートル、高さ4メートル。同施設は新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ閉館中で、今月19日から再開する予定。12、13日は臨時開館する。壁画の完成まで、開館中はアーティストの制作風景を間近で見られる。

 これまでスロープでは、漫画家の佐藤秀峰さんが広島の歴史をテーマに描いた45枚の絵画を展示していた。契約期間の終了に合わせ、同施設が「復興を遂げた広島で生きる人々の『願い』を発信しよう」と企画。国内外で活躍する芸術家に声を掛けた。

 現在、9人の壁画の制作は佳境を迎えている。招き猫を虹の7色でポップに描く美術作家の若佐慎一さん(39)は「自分の願いのキーワードは、平和と多様性。その思いを日本発祥の招き猫で表現した」と語る。依頼者の思いを絵画にする「ビジョンプロジェクター」の田中美紀さん(41)はうるう年の2月29日を含む366日の誕生花を壁一面にちりばめた。「時代を紡ぐのは人。一人一人が自分の花を咲かせ、平和な時代を築いてほしい」

 入館料は大人1700円、中高生900円など。

 他のアーティストは次の皆さん。(敬称略)

 毛利まさみち(切り絵・絵本作家)▽三桝正典(広島女学院大教授)▽土井紀子(版画家)

(2022年3月11日朝刊掲載)

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