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強制連行の中国人追悼 広島県安芸太田 遺族ら最後の招待

 戦時中、広島県安芸太田町の安野発電所の建設工事のため強制連行された中国人労働者を追悼し、日中の友好を誓う集いが19日、発電所近くの石碑前であった。工事を請け負った西松建設(東京)の拠出金による招待事業で来日した、遺族たち23人が参列した。

 地元住民や関係者約100人も出席。「安野 中国人受難之碑」と記された石碑前で黙とうし、花を手向けた。中国からの参加者は碑に刻まれた親族の名前を捜し、写真に撮っていた。

 伯父が連行された顔承新さん(46)は「伯父は帰国できたが体調が悪く、自分が生まれる前に亡くなった。石碑の名前を見て会えた気がする」と話した。

 同発電所の建設工事では、連行された中国人360人のうち29人が過酷な労働や原爆で命を落とした。西松安野友好基金による遺族や家族の招待事業は2010年に始まり、計173人が来日。希望者全員が訪れたため今回が最後となる。

 同基金運営委員会の内田雅敏委員長は「集いは続ける。地道な活動が日中友好の基礎になるはずだ」と述べた。(畑山尚史)

(2013年10月20日朝刊掲載)

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