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原爆遺品題材 絵本で訴え 被爆二世の会、来月山口で朗読会 「ウクライナ侵攻許さぬ」

 ロシアのウクライナ侵攻を巡り、プーチン大統領が核兵器の使用を示唆する中、山口市の「被爆二世の会」は4月16日、次世代に原爆被害の実態を伝えようと、広島原爆の遺品を題材にした絵本の朗読会を山口市道場門前の市民活動支援センターさぽらんてで初めて開く。被爆者や2世は高齢化が進んでおり、参加者と輪読することで「あの日」に思いをはせ、平和のバトンを若者につなぐ狙いだ。(山下美波)

 建物疎開の作業中に少年が使っていた手袋、爆心地から約750メートルで被爆した女性の紫のワンピース…。3月上旬、市内で二世の会のメンバーたち9人が集まり、原爆資料館(広島市中区)所蔵の遺品に光を当てた写真絵本「さがしています」(アーサー・ビナード作)を朗読した。絵本は14の遺品の写真を載せ、横に犠牲者に関する詩をそれぞれ添えている。

 「日常が突然失われる悲しさを感じた」「生き残った遺族も苦しみ続けたと思う」。この日は4月の本番に向けたリハーサルで、遺品ごとに詩を読み合った後、感想を共有した。山口市の事務員詫間知穂さん(45)は「死者数でなく、遺品から犠牲者一人一人の顔が見える。ロシアのウクライナ侵攻を含め、戦争は許さないと声を上げ続ける必要があると改めて思った」と声を震わせた。

 朗読会は、4月16~24日に市原爆被害者の会がさぽらんてで開く写真展「原爆展」に合わせて企画した。同24日午後1時からは市内在住の被爆者による講演会もある。二世の会の寺中正樹代表(60)は「77年前の出来事だが、プーチン大統領が核兵器の使用をほのめかすなど状況は変わっていない。被爆者の平和への思いを若者へつなぐきっかけにしたい」と呼び掛けている。

 朗読会は午後1時から。予約なしで無料で参加できる。輪読後に感想を述べ合う時間も設ける。寺中さん☎080(1913)1070。

(2022年3月13日朝刊掲載)

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