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「核共有」政府内検討 首相は否定 抑止力「日米同盟で機能」 核軍縮 貢献を強調

参院予算委 原発警備 全国展開を検討

 岸田文雄首相(広島1区)は14日の参院予算委員会で、日本の領土内に米国の核兵器を置き、共同運用する核共有を検討しない理由について「日米同盟の下、拡大抑止が機能している」と述べた。米国の「核の傘」と通常戦力に安全保障を委ねる仕組みを重視する一方、被爆国として核軍縮に貢献すると強調。ロシアが侵攻先のウクライナの原発を攻撃したことを受け、国内の原発立地自治体で警察の警備部隊が配置できないか議論するとした。(山本庸平、樋口浩二)

 国是の非核三原則に基づいて核共有の政府内検討を否定する首相が、安全保障で信頼を示したのは米国の力だった。「世界屈指の日米同盟の拡大抑止は大変重要だ」と訴えた。年末までに予定する外交・安保政策の長期指針「国家安全保障戦略」の改定作業では日米同盟の抑止力、対処力に関する議論を深めると説明。核・ミサイル開発を進める中国や北朝鮮の動向を念頭に置いた発言とみられる。

 核軍縮の意欲も示した。8月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に先立ち、日本とオーストラリアなど非保有国でつくる「軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)」で協議する考えを示し「核なき世界に向け貢献する」と述べた。

 ロシアのウクライナ侵攻を巡っては機能不全が指摘される国連安全保障理事会の改革を訴え、国内の原発防衛にも言及。警備専門部隊を置いている福井県警の取り組みを挙げ、「横展開ができないか考えるのは重要だ」と語り、全国展開が検討課題になるとした。

 林芳正外相(山口3区)は、ウクライナの原子力施設で放射線被害が生じた場合、除染や被曝(ひばく)治療を日本が支援するための検討を始める方針を示した。

 ウクライナへの1億ドル(約115億円)の緊急人道支援に関しては、首相が一時避難施設や食料など緊急性の高い分野に充てると説明し、「困難に直面する人々に寄り添った支援を実施したい」と述べた。

(2022年3月15日朝刊掲載)

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