×

ニュース

平和願うウクライナの子の絵 「キッズゲルニカ」 17年の作品 広島市内の各地巡回 露の侵攻に思いはせて

 ウクライナの子どもが2017年に描いた巨大絵画が、広島市内の各地を巡回している。ピカソの反戦絵画「ゲルニカ」にちなんだ国際プロジェクト「キッズゲルニカ」で平和への願いを込めた作品。ロシア軍の侵攻にさらされる子どもたちに思いをはせてもらう。今後市内の3カ所に展示する。(高本友子)

 絵画はプロジェクト関係者の渡辺実さん(65)=静岡県富士宮市=が保管する5種類のうちの1枚で、縦3・5メートル、横7・8メートル。ウクライナの政府軍と親ロシア派組織が戦っていたドネツク州の戦闘地域から逃れてきた子どもたちを含む計22人が描いた。五つの大陸が枝でつながる巨木の絵で世界を表現。周りには色彩豊かな動物や行き交う人間を配した。

 渡辺さんは「ウクライナのことを考えるきっかけにしてほしい」とロシア軍が侵攻した翌日の2月25日に静岡県内で5枚の展示を開始。プーチン大統領の核兵器使用を示唆する発言などを受け、今月11日には5枚を分け、広島市や長崎市、福島市など全国5都市に展示場所を広げた。

 広島市では同日、中区の原爆ドーム対岸の元安川親水テラスで展示した。渡辺さんは「核兵器を脅しに使うのは許せない。広島の人にはウクライナの怒りや悲しみが分かるはず」と話す。母親がウクライナ人の高校1年平石幸一さん(16)=南区=は絵の話を周囲から聞き、駆け付けた。「植物の描き方や動物の柄がウクライナらしい。世界の文化を尊重し、平和への思いを感じる」と話していた。

 市内では今後、18日までと21~25日にアトリエぱお己斐教室(西区)の壁面で常時展示する。他に19日午前11時~午後3時に広島電鉄の広電西広島駅前(西区)、20日午前10時~午後4時半に県民文化センター(中区)地下1階で展示する。

(2022年3月15日朝刊掲載)

年別アーカイブ