×

ニュース

原爆ドーム点検 ドローンを検討 足場組まず地盤保護 広島市

 広島市は世界遺産の原爆ドーム(中区)の保守点検への小型無人機ドローン活用を検討している。作業用の足場を組まずにドローンで撮影した画像を解析し、劣化やひび割れを確認する。導入の利点などを探るため15日、現地でドローンを飛ばした。

 市は1992年度から、ドームでひび割れの状態や、壁や鋼材の劣化具合を調べる健全度調査をおおむね3年ごとに実施している。2021年4月に終えた第9回調査までは、高さ約25メートルのドームを取り囲むように数カ月間足場を組み、作業員がたたいて音を確認したり、目視したりして劣化やひび割れ、傾きを調べてきた。

 ただ、足場はドームを支える地盤に負担がかかるため、有識者たちでつくる保存技術指導委員会や文化庁から改善を促されていた。

 この日は、市の受託業者の作業員たち5人がドローン1機を飛ばし、搭載カメラで東側の外壁を撮影した。3月末ごろまで全体の撮影を続けて画像を解析し、足場を組まなくても健全度を測れるか確認する。

 市公園整備課は「足場を組まない調査は外観を損ねないメリットもある。デメリットも確認し、被爆の惨禍を伝える原爆ドームを次代に受け継ぐ手法を検討したい」としている。(小林可奈)

(2022年3月16日朝刊掲載)

年別アーカイブ