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三次CCプラザ 月末閉館 最後の上映会 戦争テーマ ウクライナ舞台の「ひまわり」

「映画の力で惨禍想像を」

 31日に閉館する三次市十日市中の商業施設「CCプラザ」の3階ホールで25日、最後の映画上映会がある。同ホールで過去に何度も上映会を企画したシネマキャラバンV・A・G(広島市南区)の友川千寿美副代表(69)が選んだ作品は、1970年の映画「ひまわり」。旧ソ連時代のウクライナを舞台に第2次世界大戦の悲劇を描いた物語。友川さんは「遠い異国で今、戦争に巻き込まれている人々への想像力を働かせる『映画の力』を受け止めてほしい」と呼び掛ける。(石川昌義)

 ホールは320席。95年の増築時にオープンした。72年に開店した建物の老朽化に伴い、近く解体される。2023年秋開業予定の新施設にはホールを設ける予定はない。友川さんは年に2、3回、同所で上映会を開いてきた。「アニメ上映では子どもたちが大はしゃぎしていた。映画館のない街で貴重な上映の場だった」と振り返る。

 友川さんが地元有志と2月に計画した別の映画上映は、新型コロナウイルスの感染拡大で直前にキャンセル。閉館が迫る中、ロシアがウクライナに軍事侵攻したニュースが飛び込んだ。

 「ひまわり」は寒さと飢えが深刻なロシア戦線に送られたイタリア人兵士の夫と、残された妻の別れと再会を描く。ソフィア・ローレンが演じる妻は戦後、復員しない夫を捜し、ソ連を訪ねる。冷戦下のウクライナで撮影した一面のヒマワリ畑が印象的な名作だ。

 友川さんは「スマートフォンで映画を見る時代になったが、客席で分かち合った感動が何倍にも膨らむのが大勢で鑑賞する魅力。『全てを奪う戦争は愚かだ』と思う心を、ウクライナが戦場になった今こそ共有したい」と力を込める。

 上映の収益は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を通じてウクライナ難民の支援に役立てる。上映は午前11時、午後2時の2回。料金は一般1200円、高校生以下500円。CCプラザで前売り券(千円)を発売する。

 広島市中区の映画館「八丁座」も25~31日に上映を予定している。シネマキャラバンV・A・G☎082(285)8165。

(2022年3月17日朝刊掲載)

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