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「核廃絶へ議論深めて」 6月に締約国会議 広島の被爆者期待

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で延期されていた核兵器禁止条約の第1回締約国会議が6月にオーストリアで開催されることが決まり19日、広島の被爆者からは核軍縮の進展に期待を寄せる声が上がった。ウクライナへの侵攻を続けるロシアのプーチン大統領が核兵器使用を示唆するなど国際情勢が厳しさを増す中、廃絶に向けた思いを強くしている。

 「ようやく日程が決まり安堵(あんど)した」。広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(80)は喜びをかみしめた。プーチン大統領は「ロシアは世界で最も強力な核保有国の一つだ」などと核兵器使用の可能性に繰り返し言及し、国際社会を威嚇する。箕牧理事長はこれを踏まえ、「核軍縮に逆行する動きだ。締約国会議で被爆者の長年の悲願である核兵器廃絶の実現に向けた議論を深めてほしい」と願った。

 ただ戦争被爆国である日本政府は条約に参加せず、会議へのオブザーバー参加にも消極的だ。もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(77)は「条約の実効性を高め、被爆国の責務を果たすためにもオブザーバー参加は実現してほしい」と要望。「署名活動などを通じ、日本政府に訴え続けたい」と力を込めた。(小林可奈)

(2022年3月20日朝刊掲載)

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