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美術作品・漫画展示を 被服支廠有識者懇 被爆者委員提案

 広島県は22日、広島市南区にある最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠(ししょう)」の利活用策を議論する有識者懇談会を中区で開いた。保存の必要性を訴える被爆者2人が初めて出席し、核兵器廃絶の大切さを伝える美術作品や漫画を展示するよう提案した。

 市民団体「旧被服支廠の保全を願う懇談会」の中西巌代表(92)は、学徒動員されていた被服支廠での被爆体験を語り「原爆被害による悲惨な状態を保ち、多くの人が来場して平和、核兵器廃絶への思いを強くする場所に」と強調。全4棟のうち1号棟は原爆の絵や写真の展示場、2号棟は宿泊施設、3号棟は市民の交流スペース、4号棟は国際会議場にするよう求めた。

 県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(80)は、丸木位里・俊夫妻の「原爆の図」や漫画「はだしのゲン」の展示に加え、沖縄戦で犠牲になった広島県民の名前が刻まれた石碑のレプリカの設置を要望した。「沖縄戦を顧みるのは大切。戦争の愚かさを実感できる」と語った。

 2人は議論の状況に応じて意見を述べる「分野別委員」として出席した。懇談会は2023年3月末までに利活用の方向性をまとめる予定でいる。(河野揚)

(2022年3月23日朝刊掲載)

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