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核廃絶 訴える必要 威嚇は許されない 広島の被爆者が非難

 ロシアのペスコフ大統領報道官がテレビのインタビューで核兵器使用の可能性について「わが国の存亡に関わる脅威にさらされれば、あり得る」と発言したことに対し、広島の被爆者は23日、非難や憤りの声を上げた。

 広島県被団協の箕牧(みまき)智之理事長(80)は「核兵器使用は最初はプーチン大統領の単なる威嚇だと受け止めていた。戦争が長期化する中でロシアが実際に核兵器でとどめを刺そうとしているんじゃないかという怖い思いに変わってきた」と表情を曇らせた。

 核兵器を使えば戦争が世界大戦に発展する可能性もあるとの懸念を示し「核が使われたら人類は終わりだということが伝わっていない。被爆者が生きている間に、核兵器をなくしてほしいと世界中に訴えなければいけない」と力を込めた。

 もう一つの県被団協の佐久間邦彦理事長(77)は「ロシアには国際社会を威嚇し優位に戦争を進めたいとの考えがあるのだろうが、決して許される発言ではない」と語気を強めた。

 昨年1月には核兵器の使用や使用するとの威嚇を禁じる核兵器禁止条約が発効した。「条約はいかなる場合も核兵器の使用を認めていない。核兵器は駄目だと被爆地から声を上げ続け、世界の人と連帯して核戦争の危機を乗り越えなければいけない」と強調した。(余村泰樹、川上裕)

(2022年3月24日朝刊掲載)

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