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日本の核不使用声明参加 被爆地「一歩前進だ」 「核の傘」解消求める声も

 日本政府が初参加した核兵器の非人道性とその不使用を訴える共同声明が、国連総会第1委員会(軍縮)で発表され、被爆地広島には22日、「一歩前進だ」と喜びが広がった。被爆国の賛同は核兵器廃絶を求める国際世論を後押しすると期待する一方、自国の安全保障を米国の提供する「核の傘」に委ねる矛盾の解消を求める声も上がった。

 同様の声明は昨年春から3度まとめられ、日本政府は「わが国の安全保障政策と合致しない」と、いずれも署名を拒否。被爆地は批判の声を上げてきた。

 「やっと訴えが届いた」と広島県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之事務局長(71)。賛同国が過去最多の125カ国に増えたことを踏まえ「いい流れだ。声明だけに終わらせず核兵器廃絶に向けたうねりにしたい」と強調した。

 もう一つの県被団協(金子一士理事長)の大越和郎事務局長(73)も「国内外の批判が日本政府を動かした」と歓迎する。ただ「核の傘に頼りながら、表面的に取り繕うだけでは日本の抱える矛盾が大きくなるばかりだ」と指摘。核の傘に頼らない平和の構築に向けた努力を求めた。

 広島市の松井一実市長は22日朝、急きょ会見し、「核兵器廃絶を訴える国々と共に行動する決意表明と受け止め歓迎する。125カ国をリードし、核兵器廃絶に、より積極的に取り組んでいただきたい」と話した。(田中美千子)

(2013年10月22日夕刊掲載)

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