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ウクライナ南部で撮影 戦争が裂いた夫婦愛 伊映画「ひまわり」広島で上映中

 ロシアのウクライナ侵攻を受け、イタリア映画「ひまわり」(1970年)の上映が全国各地で広がっている。戦争が夫婦の愛を引き裂く物語で、ウクライナの広大なヒマワリ畑が重要なシーンとして登場する。広島市中区の八丁座は25日から上映を始めている。

 作品はビットリオ・デ・シーカ監督。第2次世界大戦でロシア戦線に赴いたまま戻らない夫(マルチェロ・マストロヤンニ)を、イタリア人の妻(ソフィア・ローレン)が捜し歩く。戦後、たどりついたウクライナで妻が見つけたのは、新しい妻と子どもと暮らす夫の姿だった。スクリーンを埋め尽くす鮮やかなヒマワリ畑を妻がさまようシーンは、ウクライナ南部のヘルソン州で撮られた。

 ヘルソン州は、今回の軍事侵攻で制圧された地域。映画の場面では、地元の女性が妻に「畑の下には兵隊や捕虜、無数の農民や老人、子どもの死体が埋まっている」と語る。咲き誇るヒマワリの美しさと戦争の残虐さとの対比が、見る者の胸を揺さぶる。ヒマワリはウクライナの国花でもある。

 八丁座を運営する序破急の蔵本健太郎支配人(44)は「戦争で市民の人生が翻弄(ほんろう)され、文化芸術に触れる機会も奪われている。今の現実と重なり合う作品」と語り、「悲惨な物語を繰り返してはいけない」と訴える。

 上映は31日までは午後4時55分から、4月1~7日は同2時20分から。八丁座☎082(546)1158。三原市の三原リージョンプラザでも4月9日、午前11時と午後2時の2回上映がある。主催の実行委員会☎082(285)8165。いずれも売り上げの一部を国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などに寄付する。(木原由維)

(2022年3月26日朝刊掲載)

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