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核不使用声明 日本賛同 「安保政策と整合」 岸田外相 被爆国として支持

 核兵器の非人道性と不使用を訴える共同声明の発表を受け、岸田文雄外相(広島1区)は22日、日本政府が初めて賛同した理由を説明した。日本の要請で前回の声明から「核軍縮に向けた全てのアプローチ」を認める文言が追加され、日本の安全保障政策との整合性が取れたことを挙げた。米国の核抑止力に頼る日本の立場に変わりがないことも強調した。(藤村潤平、城戸収)

 記者会見で岸田氏は「声明全体を精査した結果、わが国の現実的な核軍縮に向けたアプローチや安保政策と整合性があると判断した」と説明。非人道性に焦点を当てた内容に「唯一の戦争被爆国であり、核兵器使用の悲惨さを最もよく知るわが国として支持できる」と評価した。

 声明には、前回賛同を見送る要因になった「いかなる状況でも核兵器が二度と使用されないことが人類生存の利益」との文言が再び明記された。岸田氏は声明を「人類の願望から発想され、政治的意志を示すもの」と位置付け、米国の「核の傘」の下にある日本の立場が声明に縛られないとの認識を示した。

 さらに「核兵器のない世界の実現に向け、引き続き国際社会の取り組みを主導していく」と表明。日本など非核保有12カ国による国際的枠組み「軍縮・不拡散イニシアチブ」(NPDI)が来年4月に広島市で開く外相会合で、核軍縮の具体的な提案を打ち出すことに意欲を示した。

 一方、菅義偉官房長官は22日の記者会見で、「核兵器のない世界の実現が安倍晋三首相の基本的な考え方。日本の考え方が取り入れられるよう、首相が外交当局に強く指示した」と述べ、安倍首相が賛同方針を決めたことを強調した。

(2013年10月23日朝刊掲載)

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