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核不使用声明 日本賛同 ヒロシマ「思い届いた」 被爆者ら 政府対応批判も

 核兵器の非人道性と不使用を訴え、国連総会第1委員会(軍縮)で発表された共同声明に日本が初めて賛同したのを受け、広島の被爆者たちは22日、「思いが届いた」「核兵器廃絶への一歩」と歓迎の声が上がった。一方、米国の「核の傘」に依存したままの政府の対応を批判し、「矛盾」解消への努力を注文する意見も出た。(岡田浩平、田中美千子)

 広島県被団協の坪井直理事長(88)は「平和を求める人々の声が届いた」と歓迎する。賛同国は過去最多の125カ国。「核兵器保有国への圧力となる。廃絶に向けた弾みにしたい」と期待する。

 もう一つの県被団協(金子一士理事長)の古田光恵副理事長(66)は日本原水協の代表団の一員として6~14日、米ニューヨークを訪問。国連総会第1委員会を傍聴し、各国の政府代表に核兵器廃絶への協力を求めた。

 古田さんはマレーシアの政府代表たちから「声明への賛同を日本政府に働き掛けるよう逆に要請された」と明かし、「声明に賛同した以上、核兵器廃絶への覚悟を問われる。核の傘からも脱却を」と訴えた。

 広島市立大広島平和研究所の水本和実副所長(核軍縮)は「声明を日本政府は政治的なアピールで利用してはならない」と指摘。「声明の目指すところは核兵器の非合法化。正面から向き合うべきだ」と述べた。

 広島市の松井一実市長は会見で「政府の決意表明と受け止め、歓迎する。核兵器の全廃に向け、125カ国をリードしてほしい」と述べ、広島県の湯崎英彦知事も「被爆国日本が核兵器廃絶に向けた世界の動きを後押しすることは意義深い」との談話を発表した。

(2013年10月23日朝刊掲載)

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