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平和祈念館に被爆体験文集 国泰寺高卒業生の「七期会」有志 寄贈

 1956年の国泰寺高(広島市中区)卒業生でつくる「七期会」の有志が、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(同)へ手作りの文集を寄贈した。互いの近況を知らせる私信のようなコラム集だが、被爆証言も多いため、「後世へ残そう」と託すことにした。

 2018年作成の「七期会文集Ⅲ」(87ページ)。皆が70歳を過ぎた十余年前から通算3冊作成した文集の最終巻で、収録した26編のうち約10編が被爆体験記。あの日の朝、建物疎開作業で市中心部へ出かけ、帰ってこなかった姉や兄の思い出、最愛のわが子を待ち続けた親の姿、家の近所に避難してきた負傷者たちの痛ましい光景…。7、8歳で目にし、長年心に閉じ込めていた記憶をつづる。

 「恐ろしい地獄を見た友人も80歳を迎えた。孫子に伝えませんか」―。国民学校の2年生の時に終戦を迎え、被爆した同級生が多いことに気付いた野々山朋子さん(84)=南区=が数年前に執筆を呼び掛けると、続々と原稿が届いた。

 近年、同級生の訃報も相次ぐ。「文集もなくなってしまいかねない」と危機感を募らせ、仲間と相談して寄贈を決めた。同館の坂本美穂子主事(47)は「私的な文集は後に散逸する場合が多い。その前に寄せてほしい」と呼び掛けている。(桑島美帆)

(2022年3月28日朝刊掲載)

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