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「超高齢」八島 迅速な避難課題 原発事故想定し初訓練 山口県・上関町

 山口県上関町の離島八島で行われた原子力災害の防災訓練。八島は同県で唯一、四国電力伊方原発の半径30キロ圏に一部が入るが、島に住んでいる28人中27人は65歳以上だ。自力ではスムーズな避難も難しい「超高齢化の島」の現実も浮き彫りとなった。

 午前11時30分、伊方原発に異常が起きた想定で、避難指示する町の防災無線が響いた。だが、住民の大半はつえや手押し車を使うお年寄り。車の迎えや歩行の介助が必要な人もいて、訓練はてきぱきとは進まなかった。

 「つえで坂を下るのに疲れた」と今西幸子さん(83)。福島第1原発事故後、光市に住む長男から同居を誘われている。「一人が楽。でも福島の事故をきっかけに原発を不安に思うようになった」。戸惑いを胸に、島での暮らしを続ける。

 山口県最南端に位置する島から本土へは約12キロ。1日3便の定期船が結ぶだけだ。重大な災害の場合、住民は定期船もしくは漁船で本土に避難する計画だが、この日、島の住民全員がそろうまでに約30分かかった。

 防災無線が聞こえにくい高齢者もいる。区長の大田勝さん(75)は「避難の際にけがをするかもしれない。いざというとき、全員が安全に集まれるだろうか」と不安を口にしていた。(井上龍太郎)

(2013年10月23日朝刊掲載)

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