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「黒い雨」被害者に被爆者手帳発送へ 広島市 まず22人分準備

 広島原爆の「黒い雨」の被害者救済を巡り、国の新たな被爆者認定指針の運用が4月から始まる。黒い雨に遭ったことが否定できず、国が定める病気にかかっている人を被爆者と認める内容。広島市は30日、最初の認定対象者22人への被爆者健康手帳の発送準備をした。

 30日は職員2人が中区役所内の一室で作業。市内在住で現在の佐伯区や安佐南区、広島県安芸太田町などで黒い雨に遭った22人について手帳と説明資料を順に封筒に収めた。31日に発送し4月1日に配達される。

 新たな認定指針では、本人の証言や当時の居住地などから黒い雨に遭ったと確認でき、がんや白内障など障害を伴う11種類の疾病にかかっている場合、手帳が交付される。国が定める従来の援護対象区域(大雨地域)の外でも、雨に遭ったことが否定できなければ対象となる。白内障は手術歴も含めて認める。

 県と市には29日までに計2100件を超える申請書が届いている。市援護課の宍戸千穂課長は「個別審査に時間はかかるが、できる限り早く審査を進めたい」としている。

 市の申請先は、同課と区役所の地域支えあい課、出張所(似島出張所を除く)。県内のほかの市町の場合は在住する市町に申請し、県が審査する。広島市援護課☎082(504)2193。(明知隼二)

黒い雨
 米国による広島への原爆投下直後に降った放射性物質や火災によるすすを含む雨。国は1976年、爆心地から広島市北西部にかけての長さ約19キロ、幅約11キロのエリアを援護対象区域に指定。区域内で雨を浴びた住民には無料で健康診断をし、がんなどの病気にかかれば被爆者健康手帳を交付してきた。区域外で雨に遭った原告84人全員を被爆者と認めた昨年7月の広島高裁判決を受け、国は新たな認定指針を定めた。

(2022年3月31日朝刊掲載)

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