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広島県主導「ピース・アーチ・ひろしま」 収益 計画の2割弱 経費2億円増加

 広島県は22日、被爆地からの平和発信を目的に広島市中心部で今夏、コンサートや国際会議を開いた「ピース・アーチ・ひろしま」の収益が計画の2割弱の3千万円にとどまる見込みになった、と発表した。経費が2億円膨らんだのが響き、さまざまなリスクへの対応や収支見通しの甘さが問われそうだ。収益を充てる平和貢献活動への支援は縮小を迫られる。(新本恭子)

 ピース・アーチ・ひろしまは、県の呼び掛けに応じた31団体・企業でつくる実行委員会主催。①ワールド・ピース・コンサート②屋外イベントのピース・フィールド③国際平和のための世界経済人会議―を7、8月に開催し、チケット販売や企業協賛金などで9億700万円を得て、1億7400万円の収益を確保する計画だった。

 決算見込みによると収入は、500円で募った個人会員は目標10万人に対し、2万2千人と低迷。一方で県内外の約150社から予想の1・4倍の計約4億円の協賛金が寄せられ、計画を5600万円上回る9億6300万円が集まった。

 支出は計画を2億円上回る9億3300万円に膨らんだ。ドル建てで契約した海外アーティストの出演料が円安で膨らんだ上、アーティストが求めた演奏スタッフ増員などでコンサート経費は1億1300万円増え4億1500万円になった。

 さらにピース・フィールドの猛暑対策のミストシャワー設置や追加の広告費などで9300万円を増額した。

 この結果、収益の見通しは3千万円で計画の1億7400万円の17・2%にとどまる。災害復興や核兵器廃絶に取り組む団体の支援に充てる予定だが、団体数や支援額は縮小せざるを得ない状況だ。実行委の会長を務める湯崎英彦知事は「遺憾で重く受け止めている。(継続の是非は)実行委で結論を出したい」と述べた。

(2013年10月23日朝刊掲載)

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