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戦後復興 基町の息遣い 「アパート」で明田さん写真展

 被爆地広島の戦後復興をカメラで追い続けた明田弘司さん(1922~2015年)の写真で基町一帯(広島市中区)の歩みを振り返る展示会が、市営基町アパート内で開かれている。市立大(安佐南区)と中区役所による「基町プロジェクト」の主催で、活動拠点の展示スペース「Unitē(ユニテ)」が会場。「懐かしい場面を振り返り、多世代や地域が交流するきっかけに」と呼び掛けている。

 広島城のお堀から撮影した平屋の住宅群や、建築家の故丹下健三氏が設計したガラス張りの児童図書館(こども文化科学館とこども図書館の前身)など、1947年から約30年間に撮影した45点。子どもがチャンバラで遊ぶ連続写真や、相生橋に並んで釣りに興じる学生たちのカットは生き生きとした人々の息遣いを感じさせる。

 基町プロジェクトは2015年から基町の古い写真を募り、毎年8月に写真展を活動拠点で開いてきた。「新しい視点で基町を振り返りたい」と、明田さんの資料を整理する有志のグループ「明田フォトプロジェクト」に協力を依頼。基町関連の写真約500点から今年3月、市立大の学生3人と住民たちで展示する写真を選んだ。

 17日までの正午~午後5時。無料。月、火曜日は休み。会場には再開発前の1950年代の住宅地図を置き、訪れた人に当時の記憶を書き込んでもらう。基町にあった平屋の市営住宅に住んでいたという中区の稲垣晴信さん(69)は「(児童図書館周囲の)児童公園には動物飼育舎がありライオンがいた。写真を見ると当時の記憶がよみがえってくる」と目を細めていた。(加納亜弥)

(2022年4月4日朝刊掲載)

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