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旧海軍の遺構 広工大が調査 呉工廠造機部庁舎 完成時期など特定

 広島工業大(広島市佐伯区)の学生たちが、呉市の旧海軍施設の研究に力を入れている。大正期に整備された呉海軍工廠(こうしょう)造機部庁舎で、現在はIHI呉総合事務所本館(昭和町)として使われている建物の詳細な完成時期などを特定。同事務所で報告会を開き、調査の結果を伝えた。(仁科裕成)

 旧造機部庁舎は鉄筋3階建てで、当時普及しつつあったコンクリート造り。屋上には現在、入船山記念館(幸町)にある市有形文化財の塔時計が設置されていた。

 同じく海軍工廠の造船部庁舎だった同事務所別館と向かい合って立つ。増築部を除く延べ床面積は約3485平方メートル。県内で同時期に建てられ、現存する鉄筋コンクリートの建物としては、れんがの外観の旧陸軍被服支廠(広島市南区)に次ぐ県内2位の規模という。

 同大の光井周平准教授(建築構造)と学生たちが昨年、防衛研究所(東京)を訪れて当時の資料を見つけ出し、完成が1921年3月31日だったことを突き止めた。

 別の資料で、屋上塔時計の設置が同年6月とされているのも確認。前年に6月10日が「時の記念日」と制定されていることから、関連させて取り付けた可能性もあるという。設置の角度や文字盤が見えた範囲も調査研究し、発表した。

 報告会時点で同大環境学部4年生だった浜口莉名さん(22)は「100年もの間、大切に使われてきた建物。歴史を知り、思いをつないでいってほしい」と話した。

(2022年4月2日朝刊掲載)

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