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平和首長会議の加盟急増 ウクライナ侵攻受け賛同広がる 1日に新たに70都市

 核兵器廃絶などを目指す世界約8千都市の連帯組織「平和首長会議」(会長・松井一実広島市長)の加盟都市が、緊迫するウクライナ情勢を背景に急増している。副会長都市のドイツ・ハノーバー市がウクライナの平和を願い、同会議の旗を庁舎に掲揚。会員制交流サイト(SNS)などで発信したところ、賛同する都市などが1日には70都市が加わり、連帯の輪が一気に広がった。(小林可奈)

 70都市はドイツが58都市で8割強を占める。北西部のレックリングハウゼン郡やハイデンなどが加わった。広島平和文化センター(広島市中区)の平和首長会議運営課によると、ハノーバー市はロシアのウクライナ侵攻が始まった2月末から、同会議のロゴマークが入った旗を市庁舎に掲げた。国内の加盟都市にも同様の行動を呼び掛けたところ約30都市が応じたという。各都市の掲揚がSNSなどで広がり、未加盟都市から申請が相次いだ。

 同会議の加盟は1982年の発足以降、多い年に千を超えた。しかし2021年は新型コロナウイルス対策に各自治体が追われた影響で新規の加盟は88都市に減少。同会議は毎月1日に加盟都市をカウントしているが、今年1月は5都市、2、3月が各1都市だった。近年では、1カ月に70都市の加盟は突出している。

 70都市はドイツのほかは、オランダが8都市、アルゼンチン、コロンビア、スペイン、スイスが各1都市。全体では8134都市(166カ国・地域)になった。

 平和首長会議は、昨年夏に発表した行動計画で、加盟都市1万都市の目標を掲げている。同課は「平和や核兵器廃絶への願いを共有する都市の輪が世界で広がっていることはとても心強い。戦争で攻撃を受けるのは都市。市民の安心や安全を守るためにも連帯の輪をさらに広げていきたい」としている。

平和首長会議
 核兵器廃絶や恒久平和を目指す都市の連帯組織。会長は広島市長、副会長は長崎市を含む世界14都市の首長が務めている。1982年の国連軍縮特別総会で荒木武・広島市長(当時)が提唱し、長崎市長と共に呼び掛けて発足した「世界平和連帯都市市長会議」が前身。2001年に平和市長会議、13年に現在の名称へそれぞれ改称した。

(2022年4月2日朝刊掲載)

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