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北朝鮮制裁決議案採択へ 安保理

 国連安全保障理事会(15カ国)は12日(日本時間13日未明)、先月25日に2回目の核実験を実施した北朝鮮に対する貨物検査の強化や新たな金融制裁などを盛り込んだ日米など提出の追加制裁決議案を採決するための公開会合を開く。全会一致で採択の見通し。

 北朝鮮への安保理決議は2006年の核実験を受けた決議1718以来。決議に反発し3回目の核実験を準備中との報道がある北朝鮮の出方が今後の焦点。日米は追加制裁を通じた圧力強化で新たな核実験の実施を防ぎたい考えだが、効果が上がるかは北朝鮮と経済関係の深い中国をはじめ国際社会の一致した取り組みが鍵だ。

 決議1718の実効性強化を目指した決議案は、5常任理事国と日本、韓国の7カ国が安保理の枠外で協議し10日に合意、日米韓と英国、フランスが共同提出国になった。交渉の過程で日米が求めた貨物検査の「義務付け」が「要請」になるなど、常任理事国として拒否権を持つ中国の反対で内容は緩和された。

 決議案は、1718と同様に非軍事の制裁を規定した国連憲章7章41条に基づき、核実験を「最も強い表現で非難」。核実験や弾道ミサイル技術を使った発射を二度と行わないよう要求した。

対北朝鮮決議案要旨
 【前文】
 一、北朝鮮が安全保障上、人道上の国際社会の懸念に対応する重要性を再度強調。
 一、核実験とミサイル活動は、国際平和と安全の明確な脅威。
 一、国連憲章7章の下で行動し、41条の下で措置を取る。
 【本文】
 一、核実験を最も強い表現で非難。過去の決議や議長声明への違反で、言語道断の無視に当たる。
 一、核実験や弾道ミサイル技術を使った発射をしないよう要求。
 一、決議1718の8項の(禁輸)措置は、すべての武器に適用。(北朝鮮に輸出する)小型武器は除外。
 一、決議1718や本決議で移転が禁止されている品目を含む貨物とみなす合理的な理由を示す情報があれば、自国領内で全貨物の検査を要請。
 一、全加盟国に対し、上記の情報があれば、船舶の旗国(船籍国)の同意の下、公海上での船舶検査を要請。
 一、旗国が同意しない場合、旗国は、船舶を適当かつ便利な港に向かわせるよう指示。  一、北朝鮮の核計画に資する金融サービス提供の防止を要請。
 一、人道・開発目的を除き、北朝鮮に財政支援を行わないよう要請。
 一、国連事務総長に対し、専門家グループ創設を要請。
 一、6カ国協議への即時復帰を要請。

(共同通信2009年6月12日配信、6月13日朝刊掲載)

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