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「核不使用確認の場に」 秋山一橋大教授講演 NPT会議に意義

 核軍縮や軍備管理に詳しい一橋大大学院の秋山信将教授は4日、東京都内の日本記者クラブで講演した。ロシアが核兵器の使用を示唆する中、国際社会全体が広島、長崎の惨禍を踏まえて核軍縮の方向性を共有する意義を強調。その場として8月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議を挙げ、「77年近く核兵器が使われていない歴史を今後も続けていくと確認することが重要だ」と訴えた。

 ウクライナを侵攻したロシアのプーチン大統領が核兵器で威嚇し、核部隊の警戒度を引き上げたことについて、秋山氏は「米国の軍事介入を防ぐためだったのではないか」と分析。ただ、戦況悪化など今後の状況次第では「ロシアが実際に小型の核兵器を使う可能性もある」と懸念した。

 核兵器の使用が現実味を帯びる国際情勢下でこそ、ロシアをはじめとした核保有国を交えて核軍縮の道筋を探るNPT再検討会議の重みは増していると説明。核兵器保有国には、罪のない人々の被害や報復の恐れなどを「自覚してもらう必要がある」と述べた。

 新型コロナウイルス禍で4度延期された再検討会議は、今のところ8月に米ニューヨークの国連本部で開かれる予定だ。「核兵器のない世界」の実現を掲げる岸田文雄首相(広島1区)も出席を検討している。

 秋山氏は、米国の核兵器を共同運用する核共有政策についても言及。日本の安全保障上メリットは乏しいとする一方、「タブー視するのではなく、いろんな角度から検討して(導入の)可能性を排除する議論は必要」と説いた。(樋口浩二)

(2022年4月5日朝刊掲載)

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