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核廃絶へ新組織発足 広島県 国内外NGO結束 次期国連目標狙う

 2030年で期限を迎える国連の持続可能な開発目標(SDGs)に代わる目標に「核兵器廃絶」を盛り込むことを目指し、広島県は5日、国内外の市民や団体からなる新グループを設立したと発表した。発足時点で21カ国の29団体・38個人が参加。政策提言や運動を通じて賛同者を広げ、国連で25年ごろから始まる「ポストSDGs」の政府間交渉へ機運を盛り上げる。(宮野史康)

 グループ名は「グローバル・アライアンス『持続可能な平和と繁栄をすべての人に』」。県や県内の大学など20団体でつくる「へいわ創造機構ひろしま」(HOPe)を事務局に4日付で発足した。

 国内から県被団協(箕牧(みまき)智之理事長)や核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(HANWA)、長崎県、ピースデポ(横浜市)など10団体が加わった。核保有国の米国からは終末時計の発表で知られる米誌「ブレティン・オブ・ジ・アトミック・サイエンティスツ」が名を連ねる。ドイツの国際反核法律家協会のほか環境、人権などの団体もある。

 新グループは「核兵器は人類の持続可能な未来への最大の脅威」と位置付ける。広島県が23年度の初開催へ準備を進める、核兵器廃絶を目指す政府関係者による「フレンズ会合」とも連携。SDGsに代わる目標に「原爆投下から100年となる2045年までの核兵器廃絶」を入れるよう国際社会へ働き掛ける。

 来年に日本である先進7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせ政策提言するほか、国連会議で協議に参加できる資格の取得を目指す。今年6月の核兵器禁止条約第1回締約国会議や、8月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の関連行事の出席も検討している。

 湯崎英彦知事は5日の記者会見で、ロシアによるウクライナ侵攻で核兵器を巡る国際情勢が深刻さを増していると懸念。「社会課題に関わる団体や個人の総力を結集し、持続可能な平和という人類の悲願の実現に取り組む」と話した。

湯崎知事 一問一答

力合わせうねりを

 「グローバル・アライアンス」設立を発表した広島県の湯崎英彦知事の記者会見での主なやりとりは次の通り。

  ―設立の狙いは。
 核兵器廃絶を国際合意にするため、SDGsの期限に合わせ、2030年以降の国連全体の目標に入れたい。核兵器が地球の持続可能性に大きな影響を与えるという観点から賛同者を増やしていく。

  ―広島県が主導する必要があるのですか。
 平和首長会議と同じく、NGOの一員として核兵器廃絶の取り組みを進める。自治体が中心になる必要はないかもしれないが、持続可能性の観点から核兵器の問題を捉え直して活動している団体はなく、取り組みたい。

  ―既存の組織ではなく、新たなグループをつくるのはなぜですか。
 持続可能性という観点からいろいろな活動があり、その力を合わせて一つのうねりをつくりたい。ポストSDGsに核廃絶を組み込む目標の実現には多くの人の力や賛同が必要だ。市民レベル、NGOレベルに加えて、最終的には国家レベルに働き掛ける。

  ―組織の意思決定の在り方はどうなりますか。
 グループの具体的な意思決定の方法を含め、会則などは今後、運営委員会をつくって策定する。

(2022年4月6日朝刊掲載)

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