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被爆体験 掘り起こしへ 広島市の「家族伝承者」募集開始 24年度から活動

 被爆者の高齢化で自らの体験を証言できる人が少なくなる中、家族が体験を聞き取って代わりに語り伝える広島市の新制度「家族伝承者」がスタートする。家族の協力で幅広い被爆証言を掘り起こして後世に伝えるのが目的で、2年間の研修を経て2024年度から活動する予定。市が8日、1期目の募集を始めた。(明知隼二)

 家族伝承者は、被爆者の子や孫たち親戚関係にある人が対象。7月に8回の講義を受け、原爆被害の知識や話法を学ぶ。その後、家族から直接聞き取った被爆体験を原稿にまとめ、講話の実習をする。研修終了後は、広島平和文化センター(中区)から委嘱を受け、原爆資料館などで修学旅行生や旅行者に講話する。

 12年度に養成を始めた「被爆体験伝承者」は、既に証言活動をしている被爆者から体験を聞き取る。さらに家族伝承者の制度を設けたのは、人前で語ってこなかった被爆者の体験を掘り起こす目的がある。市平和推進課は「被爆の実態を風化させずにより広く伝えるため、ぜひ協力してほしい」と呼び掛けている。

 市は家族伝承者に加え、被爆者自らが語る「被爆体験証言者」と、被爆体験伝承者の22年度の募集も同日に始めた。いずれかの活動に応募するには、活動内容や研修日程などの説明会に参加する必要がある。

 説明会は5月11、15、21日の午前10時からと、同13日の午後2時からの計4回、原爆資料館である。事前申し込みは不要。同課☎082(242)7831(平日のみ)。

<家族伝承者、被爆体験証言者、被爆体験伝承者の募集説明会の日程>

5月11日(水) 午前10~11時 原爆資料館会議室1
  13日(金) 午後2~3時   原爆資料館会議室1
  15日(日) 午前10~11時 同館メモリアルホール
  21日(土) 午前10~11時 同館会議室2

(2022年4月9日朝刊掲載)

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