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実態の証言 決意新た 中区で34人に委嘱

 自らの被爆体験を語る広島市の「被爆体験証言者」の委嘱式が8日、中区の原爆資料館であった。2022年度の証言者は79~94歳の34人で、21年度より1人少ない。ロシアのウクライナ侵攻などで核兵器廃絶を巡る国際情勢が厳しさを増す中、被爆の実態を伝えていく気持ちを新たにしていた。

 委嘱式では、資料館を運営する広島平和文化センターの小泉崇理事長が、出席した証言者28人に委嘱書を手渡し、「聞く人の心に平和を思う心を打ち立ててほしい」と呼び掛けた。

 34人の平均年齢は85・9歳。21年度から4人が亡くなったり退いたりし、3人が新たに加わった。証言者は1年間、資料館や派遣先の学校などで証言する。21年度はオンラインを含めて580回の講話をし、計約4万8千人が聞いた。

 22年度から活動する脇桝友子さん(80)=熊野町=は3歳の時、母親に背負われて広島駅付近で入市被爆した。2年前に初めて証言したのをきっかけに応募。自身が感じた恐怖や、母親から聞いた傷ついた被爆者や破壊された街の様子を語るという。「核兵器が使われないよう力を尽くしたい」と話した。

 被爆者の記憶や平和への思いを受け継いで語る「被爆体験伝承者」は、22年度は156人(前年度比7人増)が活動する。(明知隼二)

(2022年4月9日朝刊掲載)

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