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「人種違えど 被爆は一緒」 原爆資料館 森重昭さん 思い語る

 被爆死した米兵捕虜の調査を長年続けてきた被爆者の森重昭さん(85)=広島市西区=の被爆証言などを聞く催しが9日、中区の原爆資料館であった。NPO法人ANT―Hiroshima(中区)などでつくる実行委員会が企画。森さんは、参加した市民たち約70人に「平和の大切さを知ってほしい」と訴えた。

 森さんは8歳の時、爆心地から約2・5キロ、現在の西区で被爆した。目の前の指の数を数えられないほど真っ暗闇に包まれたことや、黒い雨が体に当たって痛かったことなどを克明に証言。「とにかく何とかして生きたい。そう思って逃げた」と話した。

 「人種は違えど、被爆で亡くなった人は一緒だ」との信念で、原爆投下時に広島にいた米兵捕虜の実態調査を重ねた。米国のラーム・エマニュエル駐日大使が3月に広島を訪問した際には面会し、米兵が捕虜となる前に乗っていた墜落機の破片を手渡したことも紹介。「戦争の悲劇を象徴する破片。平和の大切さを伝える『ハト』として米国に帰ってほしい」と語った。

 森さんはロシアのウクライナ侵攻にも言及。「(多くの市民が)無残な殺され方をしている。テレビや新聞の報道を見て涙が出そうになった」と言葉を詰まらせた。(石井雄一)

(2022年4月10日朝刊掲載)

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