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平和願う壁画 時を超え おりづるタワー 制作のアーティスト会見

 広島ゆかりのアーティスト9人が巨大壁画を制作しているおりづるタワー(広島市中区)で11日、完成を間近に控えた記者会見があった。戦後100年の2045年に向けた願いをテーマに、作家たちが作品への思いを語った。29日までに9人全員の作品が完成する予定。

 会見には西区出身の漫画家こうの史代さん(53)たち7人が出席した。般若心経をテーマに制作したこうのさんは「被爆した方と時間的に遠ざかるにつれ、いつか薄れるかもしれない慰霊の思いを込めた」と話した。切り絵作家の毛利まさみちさん(75)=中区=は宇宙のどこかで平和都市が築かれている様子を表現。「今も国同士のいさかいが起きている。宇宙から見たら国境線は見えないんだということを伝えたかった」と語った。

 キャンバスはタワー東側の「散歩坂」と呼ばれるらせん状スロープの壁面で、1人が描くスペースは高さ4メートル、幅24メートル。9人はことし1月下旬から順次、制作に取りかかった。福山市出身で依頼者の思いを絵画にする「ビジョンプロジェクター」の田中美紀さん(41)は「9人が年齢やキャリアを超えて壁面を彩った。心でつながった思いがする」と話していた。入館料は大人1700円など。中高生以下の割引もある。(加納亜弥)

(2022年4月12日朝刊掲載)

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