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モルドバ 医療機器不足 ウクライナ避難民受け入れで調査 広島大院の久保教授報告

 ロシア軍の侵攻を受け、ウクライナからの避難民を受け入れている隣国モルドバに必要な医療支援を調べる国際協力機構(JICA)の調査団長を務めた広島大大学院の久保達彦教授(公衆衛生学)が12日、広島市南区の同大霞キャンパスで報告会を開いた。「広島からできることは戦争に一貫して反対の立場を示し、関心を持ち続けること」と強調した。

 久保教授は第1陣として6人のチームで3月20日、首都キシニョフに入り、今月10日に帰国。現地は避難民の受け入れで患者自体が増え、首都の病院でもがん放射線治療に使う装置や透析の機器が不足がちだった。医薬品の調達にも混乱が見られたという。

 各国から医療関係の団体が集まり、どこで活動するかなどの調整役も担った。「豪雨など国内での災害医療の経験が生かせた」とする一方、「自然災害とは異なり、紛争は人間が引き起こすもの。悲しい」と述べた。避難民の子どもが描いた絵は暗い色調で「一人の大人として考えさせられた」と振り返った。

 人口264万人のモルドバにはこれまでに約40万人の避難民が入り、10万人程度がとどまっているという。JICAは現在、現地に第2陣を派遣中。医療ニーズを調査し、今後の具体的な支援につなげる。(下高充生)

(2022年4月13日朝刊掲載)

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