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社説・コラム

天風録 『太陽節はダビンチのため?』

 北朝鮮は核実験をするのか、それとも弾道ミサイルを発射するのか―。どちらも朝刊1面級の大ニュースとなるため、きのうは私たちの社内も警戒態勢を敷いた。朝からずっといらいらしたわけだ▲かの国できのうは「太陽節」。民族最大の記念日という。建国の父である故金日成(キム・イルソン)主席の生誕110年と、ことしは切りもいい。とはいえ、国民の暮らしより軍事面を優先する国造りを、故人は望んでいたのだろうか▲腹の足しにも誕生祝いにもならないけれど、小欄は小ネタを一つ紹介しよう。きのうはルネサンスの偉大な画家にして天才科学者レオナルド・ダビンチが生まれた日でもあった。しかも、ことしで実に生誕570年▲太陽といえば、その光と影をどう表現するかが画家の腕の見せどころ。ダビンチはさらに太陽エネルギーに着目し、凹面鏡で光を集めて熱に変える温水器の原理を考えていたそうだ。「太陽節」は彼のためでもある?▲ダビンチはヘリコプターや戦車の原型も考案したという。昔も今も技術に関わる民生と軍事の境界はあいまいで、要は人間次第。そして核兵器や弾道ミサイルの強大な威力は、為政者の理性をたやすく奪いそう。そこが怖い。

(2022年4月16日朝刊掲載)

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